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私の父は農家をしていました。私は6人兄弟の4番目として生まれ、幼少の頃から農業をするのがあたりまえという環境の中で育ってきました。
昔の農家といえば、一家総出ですべて手作業で農作業をやる。そりゃあ過酷なもんです。それでいて裕福な暮らしができるわけではなく、なんとか食べていける程度。若いながらにこれじゃ、割にあわない。といつも感じていました。
農業をやりたいっていう若者が多い、今とは違う時代の話です。
同世代の若者はみな、街に出て、都会に出て仕事に就く。農村には若者がいなくなり、農作業がますますしんどくなる。
海外からは安価で農作物がどんどん入ってくる。
このままでは日本の農業はダメになる。そう危機感を募らせていました。
農業は近代化しないといけない。そう思い立ったのは20代。
日本の土地に合った方法で機械を取り入れ、システムをつくり、今まで農家が肌で感じていたノウハウを数値におとしていく。
農家の近代化と法人化を目指しました。
過程ではたくさんの失敗も成功も経験しました。
その都度、計画し実行し結果を見て数値におとし、次の機会では改善する。
今のビジネスでは当たり前のことですが、当時の農家はやってなかった。
結果が付いてきたのは30代。徐々に志をともにする仲間が増え、会社も大きく
なる。それまでの農家はすべてができないとダメでした。おもしろいもので、法人化すると、生まれが農家以外の者も農業に就くことができる。『農業をやりたい』という高い志を持った者が入ってきました。
また、業務が細分化されたことで、自分の個性と特性を存分に発揮できるようになったのです。私はより経営と時代の先を読むことに専念できました。
会社の基盤も整ってきた頃、農場の認知を高めるために何か良い方法はないかと考えはじめました。
農場を無料で開放する。
当時にはない、「0円リゾート」という取り組みをスタートしました。当初は農場の認知を高めるためにスタートしたこの取り組みがその後の大きな分岐点となります。
これまで、お客様は「食」に興味はあっても、知り合いに農家でもいない限りは、直接的な農業との接点はありませんでした。よって、食品を購入する際は食の安全やブランドは2次的なもので、価格の安さが最大の決め手となっていました。
こだわれば、それだけコストがかかってしまいます。これでは頑張った農家は馬鹿らしい。
0円リゾートに取り組むことで訪れたお客様が、「自分たちの目で見て体験したこの農場の製品を買いたい。」と思っていただけたのです。
農業が単なる1次産業を突破した瞬間でした。

0円リゾートへの取り組みを通して得た経験は、農業の6次産業化という考え方に進化していきます。
この頃、国内ではグローバル化が進み、海外から格安の農産物が大量に入ってくるようになりました。
日本にはアメリカや中国のように超大型の農業を行える農地はありませんでしたので、このままでは効率化、コスト削減を行ったところで、格安路線では勝ち目がない。
今後も日本の農作物を売っていくためには、価格以外のお客様の判断基準が必要でした。
そこで、私たちは「農作物のブランド化」を進めていきました。
具体的な方法としては、農業生産という1次産業から、生産物を加工する2次産業、その工程や工場を一般に開放し農業体験や生産物・生産加工物を販売する3次産業。
それぞれをミックスした農業の6次産業化を目指し始めました。
※6次産業とは1次産業×2次産業×3次産業が6となることから生まれた言葉。
まず、法人化した農場に加工施設をつくり、その過程を見学、また生産者の直売所を作りました。
試行錯誤の結果、来場いただいたお客様から当社の製品の価値を認めていただき、ブランド価値が向上。
価格競争に巻き込まれることは少なくなりました。
生産者側からすれば、生産工程や農場をすべて解放しているわけですから妥協は一切許されません。
一方、消費者のみなさまは生産工程を目で見て、体験していただくことで、食の安全や安心、歴史、背景に納得したうえで商品購入を決めることができる。非常に良い循環ができてきました。

0円リゾートと6次産業化の実現に奔走している最中、現在の花の海がある山陽小野田市埴生(当時は山陽町埴生)の町長より相談を受けました。
『埴生に約15ヘクタールに及ぶ広大な干拓地があり、農地として開発したが、管理が難しく困っている。なんとかならんものか。』
私も現地を訪れ愕然としました。
15haの農地は藪とゴミだらけ。
農地が泣いていると思いました。
一農業者としてこの状況を放ってはおけない。
ただ、塩害や潮風の強いこの農地をどう生かすか。
社員とともに考えた結果、大型のハウスを建築し、培ってきた管理農法を活かした大規模システム農園をつくるという結論に至りました。
このころ私は、6次産業を活かした農業のブランド化の一方で、消費者が求める商品の多様性を感じていました。
同じ商品でも一人の消費者が利用シーンに応じて、高価格帯・中価格帯低価格帯の商品を買い分けている。高価格帯のブランド商品は作ってきましたが、それだけでは、お客様の需要に100%お応えできていないのではと考えていたのです。
花の海では広大な農地を人の手と機械の力を使い、管理しています。
その結果、作物(野菜・花苗)の安定生産と品質維持を行いつつ低価格化を実現しています。
また、6次産業、0円リゾートの構想に基づき、生産現場の解放と野菜や果物の収穫体験などを行っています。


これまでの経験や取組み、育ってきたグループ企業でのノウハウを活かして、これからは新たに『いのちの里づくり』『大規模都市圏への農場リゾート展開』を進めていきたいと考えています。
『いのちの里づくり』とは一村一農業、その地域のどこにも負けないブランド農産物を作り、地域内の循環農法によってこれを育て、販売していくというもの。
『大規模都市圏への農場リゾート展開』とは、大都市近郊の休耕地や休眠地にノウハウを注入した生産農場兼体験農場をつくり農業との接点が薄い都市住民へ農業との接点をつくるというもの。
今の東京の子供たちは食べ物の名前は知ってても、それがどういうもので、どこで、どうやって作られているのかまったく知らないんです。 これはすごく不幸というか…なんとかしてあげたいと思うんです。 まだまだ構想段階ですが、必ず実現させたいと思っています。
長年この業界に携わってきてつくづく思うことがあります。
農業は『人と植物の共生』ということです。いくらうまく管理しても、人の思う通りにはならないし、未知の部分も、神秘的な部分もたくさんあります。だから『堅苦しく構えたって仕方がない。ともに生きていく。』このぐらいの気概がちょうどいい。
当社の社員を含め、今の若い人は概して結果を急ぎがちです。
でも農業は植物や自然というパートナーがあってこそ成り立つ仕事。
焦っても仕方がないことが多いんです。まだまだ、夢の途中。
花の海という『場』を通して、農業という生き方を通じて一緒に成長していけたらと考えています。


管理施設
研修施設、会議室、事務所、多目的室を完備しております。花の海の総合受付口です。
集出荷場
花の海商品の集出荷場です。毎日ここから商品が出荷されています。
用水処理施設
地域環境を考慮し、花の海の用水はPH調整やEC確認などの処理を行っております。


